2019年12月6日(金)にパーソルプロセス&テクノロジー株式会社のセミナールームにて「OKR導入の不安徹底解消セミナー」を実施しました。実際にOKRを運用している同社の藤原美里氏にもご登壇いただき、実例についてお話いただきました。
当日のプログラム
当日は下記の3部構成でセミナーを実施いたしました。
(第一部)組織力を高めるOKRとは?
:株式会社タバネル 奥田和広
・目標管理の問題点とOKR
・成功するOKRの運用方法
・導入失敗を防ぐQ&A
(第二部)OKRでチームはどう変わったか?
:パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 藤原美里さん
・OKR導入ビフォーアフター
・OKRの運用の実際
・OKRに欠かせない1on1、ウィンセッション
(第三部)OKRの不安、疑問を徹底解消!
登壇者2名が参加者の不安、疑問に答えます
(第一部)組織力を高めるOKRとは?
第一部は、株式会社タバネル 代表取締役の奥田の登壇になります。
まずOKRについての解説の前に、現状の目標管理の問題点について理解しておくことが大切です。日本企業の7~9割が何らかの目標管理制度を導入されていますが、当社の調査によると経営者の考えている方向性、会社の戦略や目標などを正しく理解している社員は3-4割しかいません。
なぜ、多くの企業で導入されているにも関わらず、目標管理は機能していないか、参加者同士のディスカッションを行いました。
目標が忘れられたり、形骸化する、トップからの繋がりがないなど組織間で整合性がない、などの意見が出ました。さらに、目標だけで目的が共有されない、挑戦が評価されず高い目標が評価されない、などの解説がありました。
このような問題点を踏まえて、後半は近年注目を浴びているOKRの解説になります。
OKRの2つの構成要素である「Objectives(目的)」と「Key Results(重要な結果指標)」は、どのようなものか、の解説からスタート。高い目的、目標を目指すなどの特徴に続いて、組織の透明性を担保するため、OKRは公開されることが特徴です。
では、高い目標を目指す上で気を付けることは何か?参加者同士でディスカッションです。目標に対する筋道をつける、人によって設定水準を決める、などのご意見をいただきました。
これらの意見ももちろん気を付けるべき点ですが、高すぎるかどうか?は取り組み前には分からないことも多く、判断に過剰な労力を割いてもあまり意味はありません。まずはチャレンジする、そしてチャレンジを高頻度でモニタリング、フィードバックし、必要に応じてサポートできる体制を築くことが大切です。
OKRは運用が難しいと言われますが、高頻度のモニタリング、フィードバックをしっかり仕組み化することが大切です。
メンバーを巻き込みながら、しっかり振り返りを行うことができなければチーム全体でで高い目的、目標に挑むことは難しいです。
そこで、OKRでは上司と部下で行う「1on1ミーティング」、チームで行う「チェックイン」、「ウィンセッション」の運用を行います。この運用によって、承認、賞賛を行いながらOKRに立ち向かうことができます。
一方で、せっかく導入してもOKRが機能できないことがあります。そこで、導入時に起こりがちな失敗とその対策について解説に移りました。
特に多い失敗は、社員のOKRについての理解が薄いまま、導入してしまうことです。当然ですが、現場レベルまで正しい理解がなければ、表面的でこれまでの目標管理とあまり変わらない状態が続きます。
そこで、OKR導入時はなぜ導入するのか?も含めて、正しい理解を促す導入ミーティングを行うことが重要となります。
最後に全体の内容を振り返って、第二部に移りました。
(第二部)OKRでチームはどう変わったか?
第二部はパーソルプロセス&テクノロジー株式会社 藤原美里さんよりOKRの導入から現在の運用方法までをお聞かせいただきました。
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社は「はたらいて、笑おう。」でおなじみのパーソルグループの会社です。藤原さんは、HITO-Linkサービス開発部で営業活動を中心にプロダクト改善の企画やメンバー育成に従事されています。
部門としての歴史はまだ浅いのですが、プロダクトが3つあります(上図参照)。しかしながら、それぞれのプロダクトがリリース時期を含めた状況やミッションも違っていたため、連携がうまくとれていないという課題を抱えていました。
これらのプロダクトを取り巻くHRテック業界は最近ますます競争が激化し、不確実性が高いマーケットです。その中で、内部は相互連携かつアジャイルな事業運営を求められています。
こういった環境の中でビジネスを成長させるためにOKRを導入しました。そして、マーケティング、営業、開発と言った機能別ではななく、プロダクトごとにOKRを立てることになりました。
しかしながら、導入当初は設定があいまいで、メンバーへの理解、浸透ができておらずOKRは機能しませんでした。そこで、OKRを立て直すべく全員参加でワークショップ型の半日合宿を行いました。
結論から言えば、この合宿を機に部の方向性が定まり、OKRは機能し始めました。
まず、それぞれのメンバーはプロダクトに対する想いはあったものの、いつの間にか少しずつズレが生じていたことに合宿を通じて気づき合うことができました。そこで、部としての方向性を明確に定めることになりました。
またOKRについては、わくわくする目的の設定がこれまでできていなかったことや、運営も現場任せになっていたこと、を再確認できました。そこで、OKRの再設定とチェックイン、ウィンセッションを仕組み化して運営することになりました。
チェックインや1on1ミーティングについては実際に藤原さんが運用しているHITO-Linkパフォーマンスの画面を共有しながら説明していただきました。
結果として部門は同じベクトルを向いて協力し合えるようになってきました。チーム内だけでなくチーム間でも協力が生まれるなどの効果もあり、ビジネス上の結果にも繋がっています。
(第三部)OKRの不安、疑問を徹底解消!
第三部は参加者からの質問に登壇者2人でお答えしていきました。
Slidoを使用して質問をその場で入力していただき、上から順に時間の許す限りお答えしていく形式で行いました。一部、二部の話を聞きながら質問を入力いただいたため、具体的な内容に踏み込んだ回答になりました。
詳細の質疑応答については省略させていただきますが、全体の傾向としてはやはり運用について不安が多く出ました。
OKR運用について、2人の回答の共通点は「高頻度のコミュニケーション」と「運用の仕組み化」でした。また、導入時に全員を巻き込んだ導入ミーティングをしっかり行うことも大切です。
また、藤原さんからOKR運用が正しくできているか、管理するコツを教えていただきました。管理する担当を「OKR大臣」「OKRチャンピオン」などと少し遊び心を入れる名称にすることで、管理されている、押し付けられているなどの印象を和らげながらOKRを定着させることができます。
セミナーを終えて
金曜日の夜にも関わらず、20人近くの方にお集まりいただきました。
OKR導入に興味はあるものの、本当にうまくいくのか?どうすれば成功するのか?と言った不安をお持ち企業が多いと改めて実感しました。
ご参加いただいた皆様、ご登壇いただきました藤原さん、誠にありがとうございました。
(今後のイベント予定はコチラ)