スマートフォン、タブレット、PCから利用できる社会人向け学習サービスを提供しているEdTechスタートアップ企業の株式会社シェアウィズ。ミッションを「学習コンテンツの流通を最適化し、学ぶ希望が見つかる場所をつくる」に改訂し、さらなる成長を目指している代表取締役の辻川友紀氏に、株式会社タバネル代表取締役の奥田和広がお話をお伺いいたしました。
「学びのきっかけ」を見つけてもらうことに価値がある
(奥田)辻川さんは京都大学の大学院で理系の研究をされていたんですよね。そのようなご経歴をお持ちの辻川さんが、シェアウィズを起業された理由や経緯を教えていただけますか?
(辻川)はい、大学院では生命科学研究科統合生命学専攻を修了しました。もともと学ぶことは好きで、分子生物学の研究をしていました。
しかし、研究をしているうち研究対象よりも「人はなぜ学ぶのか?」という根源的な問題に興味が移ったんです。
そこで、教育系の事業を立ち上げたいという想いが学生時代に芽生えました。しかしながら、研究を中心にしてきたので、起業についての知識がありませんでした。そのため、まずは一旦は就職をして30歳までに起業しようと考えました。
実際はP&Gに就職したのですが、27歳の2012年に起業したんです。
(奥田)学生時代から学びをテーマに教育系のビジネスを考えていたんですね。実際、起業してみていかがでしたか?
(辻川)起業直後はさまざまなコンテンストなどに出場し、意外と何とかなりそうと思っていたんですが、2年ほど経って、収益化や組織づくりなど事業を立ち上げる難しさに直面し、試行錯誤を繰り返しながら、今に至るという感じです。事業領域としては起業当初から社会人向けの学習に注力し、「学びのきっかけ」を見つけてもらうことに価値があるという考えは創業から一貫して変わっていないです。
通底にあるこの価値はぶれることなく今まで来ていますが、ビジネスモデル特にマネタイズの部分ではピボットしています。
広告モデルから物販モデルに変更し、最近では外部サービスと提携し学習コンテンツの配信、販売を行っています。
(奥田)そういった中で、2019年にミッションを変更されたのですか?
(辻川)7年目の節目に当たり、弊社が取り組むべきミッションを改訂いたしました。
もともとは「学ぶ希望が見つかる場所をつくる」だったのですが、「学習コンテンツの流通を最適化し、学ぶ希望が見つかる場所をつくる」に改訂しました。
学ぶ希望が見つかる場所、つまり学びのきっかけを提供することは今後も変わりなく続けていきます。その上で世界中のさまざまな学習コンテンツの流通を最適化すること、つまり、ある人が学ぶべき内容を、最適なタイミングで、最適なフォーマットで提供することで、学びのきかっけを提供するという、Howに当たる部分をミッションに加えました。
OKRはシンプルで使いやすい
(奥田)ありがとうございます。
事業を成長させていく中で、目標管理はどのようにしてきましたか?
(辻川)起業直後はP&Gで使っていたOGSMを使っていました。
Objective (目的)、Goals (ゴール、目標)、Strategies (戦略)、Measurements (評価)、頭文字をとった手法で、それまで自分でも使っていこともあり、シェアウィズでも導入しました。
しかしながら、O、G、S、Mと4つの要素を作成し、管理すること自体が手間がかかったため、結局使わなくなりました。
その後は、職務内容や期間に応じて都度都度目標を立てるような状態になり、しっかりとした目標管理はできていませんでした。
(奥田)現在はOKRを使っているんですよね。
(辻川)はい、やはりしっかり目標管理をしていきたいと思い、2017年からOKRを導入しました。まず、OGSMに比べ、OとKRの2つの要素ということがシンプルで使いやすいですね。やはり日々の運用で使いやすいものが残っていくんだな、と思っています。
(奥田)実際にOKRを導入して、運用をされてみていかがですか?
(辻川)実際にOGSMよりかなり楽に回せている感覚はあります。
もう少しウィンセッションをしっかりやらないといけないな、とは感じていますが、チームが小さいので使い勝手の良さで運用はできていると思います。何より全社の方向性が揃うようになったと感じますね。
今後、さらに人が増えた時には、運営上の各要素をもっとブラシュアップしていきたいです。
自分たちの組織に合ったOKRにブラッシュアップ
(奥田)OKRは運用をしていく中でブラッシュアップすることで、その組織独自のものに磨き上げることが大切だと私はよくお伝えしていますが、何か工夫されている点はありますか?
(辻川)チームでの週次ミーティングのサイクルを変えました。
当初は金曜日を週の終わりと設定して、ミーティングを実施していました。金曜日で一週間の仕事が終わった達成感があることは良いのですが、土日の休みを挟むことで月曜日のスタート時点で忘れてしまっていることも出てきていました。
そこで、当社では火曜日を区切りにして、週初め、週終わりの内容を一緒にミーティングするようにしました。月曜日でも良かったのですが、月曜日は休日になることが多く、リスケの必要が出てくるので、火曜日にしました。
今のところ、火曜日を区切りしたことは上手くいっていますね。
(奥田)OKRを設定する際にも工夫があるんですよね。
(辻川)はい、その期に目指す全社的なコンセプトをOKRの前に決めています。
具体的には、当社は学びを求めている利用者さまと学びを提供していただく講師さまの双方がお客様になります。その際に今期はどちらに重きを置いた開発やサービス提供を行うのか、をコンセプトとしてまず固めます。粒度は荒いのですが、ここに統一感を持たせることがOKRを設定する上でも日々事業を行う上でも不可欠だと考えています。
(奥田)最後にOKRを導入を検討されている方に一言いただけますか?
(辻川)OKRはシンプルで使い勝手が良いと思いますが、私自身ももっとOKRについて勉強したいです。OKRの書籍を読んで反省する部分もあり、もっとメンバーにも考えてもらう部分を増やしていきたいと思っています。
そういった意味でもOKRは導入してから運用、設定をどんどんブラッシュアップしていくことが大切です。自分たちの組織に合うようにすることで、根付きやすいものにしていくことが大事だと思います。
プロフィール
株式会社シェアウィズ
代表取締役 辻川 友紀
設立 2012年2月2日
資本金 4,765万円
株式会社シェアウィズ
代表取締役 辻川 友紀氏
京都大学大学院生命科学研究科修了。P&Gジャパン株式会社会社研究開発本部。 2012年2月に株式会社シェアウィズを設立。「知識の地図」を使った社会人向けの学習サービスShareWisを展開。
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