2019年5月28日、スタートアップカフェ大阪にて開催されました「教科書には載っていない新規事業アイデアの『ずるい』量産法」セミナーに当社代表取締役 奥田が登壇いたしました。
募集後すぐに満席になったとのことで、テーマに対する関心の高さを実感しました。
さて、OKRのコンサルタントがなぜ新規事業アイデアというテーマで登壇したのかを説明しましょう。
OKRの導入先が新規事業や新規プロジェクトであることも多く、その際にこれまで新規事業、商品開発を自ら実行してきた経験、知見が喜んでいただける機会が実は思っている以上に多かったこともあり、せっかくなのでご紹介させていただこうと考えました。
事業アイデアの理解
とにかくこの場で量産してもらうことを説明して、スタートしました
最初にテーブル内で話し合ってもらった質問です。
「皆さんは「TikTok」を知らない人にどう説明するでしょうか?」
偶然ですが、各テーブルに一人ずつTikTokを知らない方がいたので、グループワークは盛り上がりました。
「TikTokとは動画共有ツールです」と説明したとすると以下のような会話の流れになるのではないでしょうか?
「Youtubeと何が違うの?」
➡「口パク動画共有ツールなんです」
「何が面白いの?」
➡「簡単に盛った動画を共有できるんです」
「なんでそんなことできるの?」
➡「ネタが使えて、15秒だけでできるから」
この説明を要約するとコンセプト(特徴+一般カテゴリー)、価値根拠、ベネフィットの3つの要素で事業アイデアを説明することができます。
3つの要素に慣れてもらうために、自社の事業や好きな事業を事業アイデアの形で言語化するワークをしました。
アイデアのつくり方
「アイデアのつくり方(ジェームス W.ヤング著)」によると、アイデアづくりには5つのステップがあります。
①データ収集
②データの咀嚼
③データの組み合わせ
④発見した!の瞬間
⑤アイデアのチェック
同様に「ニーズ」を収集、咀嚼することで「ベネフィット」が生まれ、そのための「価値根拠」を発見し、事業アイデアに昇華していく方法が一般的ではないでしょうか?
この正攻法に沿ってアイデアを作っているにも関わらず、「つまらないアイデア」を発見してしまうのはなぜでしょうか?
それは、①~③のステップに問題があるからです。
①近くのデータ収集
②既存のデータ咀嚼方法
③常識的な組み合わせ
自分の近くのデータ、つまり自分の経験、顧客、業界などの狭い範囲の常識にとらわれすぎると良いアイデアはできません。
ところで、みなさんは「回転すし」はどのようにできたか?ご存じでしょうか?
一説によるとビール工場を見学しているときに、ビール瓶がベルトコンベアを流れていく様子を見て思いついたと言われています。
先ほどの流れで言うと「ニーズ」「ベネフィット」先行ではなく、「価値根拠」が先だったとも言えます。事業が成り立つためには「ニーズ」を満たしていなければなりませんが、アイデアを発想するときは「ニーズ」からスタートする必要はありません。
①遠くのデータ収集
②新規の咀嚼方法
③非常識な組み合わせ
このステップを踏むことで「すごい発見をした!」アイデアとなるのです。
①~③のためには思考の枠を強制的に外すことが重要となります。
ここからはその方法について説明していきます。
ずるい量産法① 転用
渡辺直美さんのビヨンセのものまね
➡クチパクものまね
Youtube
➡誰でも投稿できる動画共有ツール
もうお分かりですね。
全く別のカテゴリーの「特徴」を転用して「一般カテゴリー」を組み合わせると「クチパク動画共有ツール」となり「TikTok」のコンセプトとなるのです。
簡単に言ってしまえば、全然違う業界の事業の特徴をぱくり、新事業アイデアのヒントにしてしまう方法です。
ここからは個人ワークです。
さきほど作成した好きな事業の「特徴」を転用して、自社の「一般カテゴリー」を組み合わせたコンセプトを作成します。できたコンセプトはどのようなベネフィットや価値根拠を持つか?を考えてもらいます。普通では考えつかないコンセプトをベースに考えなければならないため、強制的に事業アイデアを作り出していただきました。
短い時間でしたが、多い人は10個ほどの事業アイデアを作成いただけました。
ずるい量産法② 制約
制約を説明する前に、自社事業について顧客アンケートを取る場合の項目を考えてもらいました。
たとえば、スポーツジムの場合
・好きな時間に通える
・設備が充実している
・スタッフが親切である
・通いやすい場所にある
などなど、でしょう。
ここで、仮に「好きな時間に通えない」「設備が充実していない」などの制約がある場合でも成り立つスポーツジムがあるとしたら、どんなジムでしょうか?
・筋トレを徹底指導してくれる
・食事を徹底指導してくれる
などなどがあれば、成り立つ可能性はあります。
このように考えることで、既存のジムとは違う「ライザップ」の事業アイデアになっていきます。(※実際の話ではありません)
ということで、お客様が価値を感じている要素を「制約」することで、新たな価値を付け加えて新しい事業アイデアになります。
ブルーオーシャン戦略の戦略キャンバスの考え方を分かりやすく考える方法が「制約」になります。
ここでは先ほど作ったアンケート項目の1つをなくした場合、ほかにどんな価値を付け加えたら事業として成り立つか?を考え、そのうえで事業アイデアを作ってもらいました。
最後に
ここまで作った事業アイデアから1つ選んで、テーブル内で共有しました。共有されることによって自分では思いつかないような発想、切り口に出会うことができます。
そこで、もう一度自分のアイデアをブラッシュアップしていただきました。
最後に、すこしだけアイデアチェックの話です。
この段階のアイデアは「とにかく速く、安く」チェックすることが大切です。とにかく量産してきたアイデアから絞りこみます。そして、単純に「どう思う?」と聞くことで、素直な感想をもらい、さらにブラッシュアップをしていきましょう。
セミナーを終えて
2時間という限られた時間の中ですが、今回は「量産」ということにこだわってみました。アイデアは「質より量」と言われますが、量の出し方に対するノウハウはあまり知られていないのではないか?と思います。
そんな中ですが、参加者のみなさんは苦しみながらも限られた時間の中で、多くの事業アイデアを作っていただくことができました。また、アンケートでも「わかりやすかった」「面白かった」などなどのご意見で満足度も高く、ホッと一安心でした。
何より最初にも書きましたが、この新規事業アイデアの量産というテーマは非常に関心の高く、またお悩みの方も多いと実感しました。
今回のように一般向けのイベントはもちろん、企業内研修も可能です。量産法を学ぶとともに、その場でアイデアを量産することができますので、ご興味あればお声掛けください。
【ABDイベントのお知らせ】
今回のイベントを開催しましたスタートアップカフェ大阪さまで「本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR」についてABD読書イベントを開催いただきます。著者であります奥田も参加いたしますので、ご興味ある方はご参加ください。
(日時)2019/06/19 (水) 19:00 – 21:30
(会場)スタートアップカフェ大阪
(詳細・お申込み)
https://0617event.peatix.com/