OKR(Objectives and Key Results)は多くの急成長企業で採用されていることから、導入をする企業が増えています。
OKRは導入、運用を誤らなければ(参考記事)、組織力を高め企業の成長に大きく寄与することは成長企業の例を見れば明らかです。
そして、タバネルではOKR導入時にトップに社内向けブログを始めるように推奨しています。なぜ、社内向けブログがOKRと相乗効果を発揮し、組織力を高めるのか?を解説します。
OKRが組織を強くする理由
そもそも組織とは何なのでしょうか?
複数の人間が集まっているだけでは組織ではありません。複数の人間が「共通の目的を協力して達成することを目指す」からこそただの集団ではなく組織と言えるのです。
しかしながら、実際の組織では共通の目的が共有されていない、ボヤけていることや、その達成に向けての協力ができていない状態が多く見受けられます。
一方、強い組織はこの共通の目的が共有され、協力して達成を目指すことができています。つまり「目的」と「協力」が強い組織を生むのです。
OKRが多くの成長企業に用いられる理由は、この「目的」と「協力」によって強い組織を生み出せることが一因です。
OKRをGoogleに持ち込んだことで知られるジョン・ドーアはその著書の中で、OKRの意義をこのように定義しています。
OKRはみなさんの最も重要な目標を明確にする。全員の努力のベクトルを合わせ、協力させる。組織全体に目的意識と連帯感をもたらし、多様な活動を結びつける。
出典:Measure What Matters(メジャー・ホワット・マターズ)伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR
トップの発信が組織を強くする
例えば東京にいる組織において、目的地は大阪であるにも関わらず札幌と間違えている場合、たとえ連帯感が生まれていても大阪に到着することはありません。
つまり、共通の目的をメンバー間での解釈に違いなく共有することは非常に重要です。そのため、OKRでは常に「Objectives=目的」を全社、チーム、個人で共有、公開します。
そしてその効果をさらに高めるためにトップは、目的や価値観を発信しつづけることが重要です。
以前、とある会社の役員の方に、社員の意識調査で「経営者の考え」「戦略の理解」について低いスコアが出たことをお伝えしたときにこのように言われました。
「やはり当社の社員はレベルが低いですね。上期、下期の二回も全社員向けに半日かけて戦略発表をしているにも関わらずこの結果だ。」
当然ながらこの会社の社員のレベルが低いわけではありません。この会社に限らず社員の理解度は残念ながら低いのです。(参考記事)
一度、二度の発信で理解し、共有できるという考えが間違っています。トップはしつこいくらい徹底して目的、価値観を発信しつづけることが必要です。
トップの発信ではブログがおすすめ
トップが常に発信し続けるための方法はたくさんありますが、当社ではブログをお勧めしています。もちろん、会社の状況に合わせたツールを使ってもらえば良いのですが、当社がブログをお勧めする理由は下記の通りです。
- 従来の社内報のような紙媒体の場合、保存や検索が難しいうえ、コストもかかります。
- 朝礼など対面の場合は、遠隔地の場合集合の手間がかかるうえ、全員の時間を拘束する必要があります。
- 社内チャットの場合、通常業務との切り分けが意識上しづらい、過去記事を検索の容易性がブログより劣る
多拠点展開の場合は特にトップと直接会う機会が少なくなるため、発信は重要になります。また、中途採用者には過去の発信記事を読んでもらうことで、いち早く目的を共有することができます。
(事例)トップの発信でエンゲージメントが上がる
全国のデパートなどに多店舗展開しているグッズメーカーでは、退職率が高く悩んでいました。
店舗スタッフはトップはもとより本社のスタッフとも会う機会が少なく、反対にデパートのマネージャーとのコミュニケーションが密になっていました。そのため、そのブランドで働いていると言う意識よりもデパートでグッズを販売しているという意識が強くなっていました。
そこで、トップが会社の目的、ブランドの大切にしていること、各店の状況、本社の状況などをブログで定期的に発信するようにしました。
そうすると、ただグッズを販売しているのではなく、共通の目的意識やブランドに対しての理解や共感が拡がりを見せ、退職率は下がり、紹介による入社が増えるなどエンゲージメントが上がっていきました。
発信時に気を付けたいこと
発信はあくまで目的や価値観を伝えることを目的にし、トップの言葉、自社の事例を中心に、ポジティブなことのみを書くようにしましょう。
文字情報でのネガティブな表現は、きつく受け取られてしまいますので、必要な場合は別の手段を使いましょう。
また、偉人や名経営者の名言が好きな経営者も多いのですが、あまり多用しない方が良いです。あまりに多用すると社長の言葉が少ないことに社員は白けてしまう恐れがあります。
そして、スタート時に意気込みすぎて毎日のようにアップする経営者もいますが、ペースがダウンすると社員からは社長が飽きたと思われてしまいますので、週一回など運用できるペースでコツコツと書き溜めることがお勧めです。