実際に業務に取り組みながら方法や知識を学ぶ人材育成方法として「OJT研修」を導入しているケースが多く見られます。しかし、職務現場で「OJT研修」を実施しても育成に結びつかずに苦戦するケースも見受けられます。そこで今回は、新入社員・中途社員の人材育成を成功に導く「OJT研修」ポイント3選をご紹介しましょう。
人材育成におけるOJT研修とは?
「OJT研修」は「OJT(On-The-Job Training)」の略称した言葉で、企業や組織の中で業務を取り組みながら行う育成方法です。一般的には、経験豊富な職場の上司が若手社員に対して、業務に必要な知識や技術を計画的に指導します。
若手社員が戦力へと育つには、業務全体の70%を仕事中の経験によって覚えていくと言われています。残りの30%は上司からの指導によって習得することになります。
「OJT研修」は上司や先輩社員が部下の指導をしながら業務をするため、業務を止めることなく業務に必要な知識を得ることができる効率的な育成手法です。新人社員や部署異動直後の社員は新しい知識やスキルを早い段階で身につけることが求められる中、例えば、新人の営業職においては新人社員を現場に同行させることで、営業の流れやコツを掴むことができます。
また、「OJT研修」の指導者は外部委託ではなく、会社の上司や先輩が担当するため、業務効率化やコスト削減にもつながります。
新人社員が入社した早い時期に「OJT研修」を導入することで、マニュアルではなかなか伝わらない業務の細部が経験として蓄積され戦力へと近づいていきます。
OJT研修の目的
「OJT研修」を実施している担当者はマニュアル通りの指導をすれば良いと思っている方が多いですが、人材育成に効果的な「OJT研修」をするには、マニュアルを読むことではなくまずは明確な目的を設定することが重要です。
例えば、新入社員向けの「OJT研修」の場合は、社会人マナーや会社の目標を理解してもらうことを目的として行い、中途社員には戦力となる社員を育成することを目的とするなどの明確な目的を決めることが大切です。
新しい社員は初めての職場にまだ慣れていないため人間関係や不安も多い中での研修となるため、「OJT研修」ではトレーナーとなる担当者が和やかな雰囲気を作り、社員同士のコミュニケーションを活発化させることも大切です。
人材育成に役立つOJT研修のコツ
「OJT研修」の目的が決まったら以下のポイントを押さえて実践に移りましょう。
①OJT担当者が目的を理解する
OJT担当者は「OJT研修」を、どんな目的をもってそのトレーニングを実施するのか理解していなければなりません。しっかりとした育成計画に基づき、トレーニングの目的を意識して研修に臨んでください。
育成計画は新人社員にどの業務をいつのタイミングで経験させるべきかよく検討しましょう。
②OJT研修の基本的な訓練手順
OJT研修の基本的な訓練手順は以下の「やってみせる」手法を繰り返すと効率的です。
▼4段階職業指導法
ステップ① Show(やって見せる)
- 業務の全体像を理解してもらう
- きちんとした手本を見せる
- 言葉よりもわかりやすく伝わる
ステップ② Tell(解説・説明する)
- 分かりやすい言葉で伝える
- 仕事の目的や目標も伝える
- 質問を受けながら理解度を深める
ステップ③ Do(させてみる)
- 横について行動を見守る
- 失敗しても構わない安心感を与える
ステップ④ Check(評価・指導をする)
- Doで出来なかったことのフィードバック
- 出来たことを褒める
「OJT研修」では安心感のある関係性を築くために穏やかな雰囲気で行うことがコツです。
安心感のある関係性が生まれると、新人社員も指導内容を真摯に受け止め、モチベーションをアップさせることができます。
③トレーニングは継続的・反復的・段階的に行う
「OJT研修」は継続的・反復的・段階的に行うことが優秀な人材育成に繋がります。そして、何度もトレーニングを積み重ねて、段階的に知識やスキルを身につけることが大切です。
継続的・反復的・段階的なトレーニングは類似の業務への適用力にも役立ちます。
さいごに
「OJT研修」は企業・組織の業務効率化や育成に役立つ手法です。
まずは、トレーナーが目的と目標を明確に理解して、信頼関係を構築できるコミュニケーションを取りながら実践します。企業の人事担当者や教育担当者は「OJT研修」を積極的に活用して、人材育成に活かしましょう。