適切なフィードバックは従業員の成長に役立つだけでなく、従業員と組織の結束力(従業員エンゲージメント)を高めます。上司からフィードバックを実施されていない部下はネガティブなフィードバックをされている部下より退職率が高いという調査データもあります。
適切なフィードバックのもたらす効果
適切なフィードバックにより、リーダーは以下のことを実現できます。
- 部下を動機づける
- 問題解決、目標達成ができる
- 部下の育成ができる
- コミュニケーションが改善する
- 従業員エンゲージメントが高まる
効果的なフィードバックを行う方法
リーダーが効果的に部下にフィードバックを行うには、適切な方法を身に着ける必要があります。
①適切なタイミング
フィードバックすべき状況が起こってから、できるだけ早いタイミングで行う必要があります。遅いフィードバックは問題解決が遅れるだけではなく、部下の納得感にも悪影響を及ぼすからです。 しかしながら、問題が発生する度に、その都度フィードバックを行うの忙しい上司にとって現実的ではありません。そのため、週に1回など定期的に1on1のを開催するで、タイミング良くフィードバックを行うことが望ましいです。
②アジェンダの準備
部下は上司からのフィードバックを上司が思っている以上に重く真剣に受けとめると考えた方が良いです。そのため、何を話すのか、どういった反応がありそうか、前回までのフィードバックで何を話したのか、など十分に準備して臨まなければなりません。また準備のないままのフィードバックは部下からの質問に反射神経で答えるしかなくなり、あいまいな回答になることが多いため、結果として部下の成長という効果を生むことが難しくなります。
③嫌われる覚悟
フィードバックは組織の成長、目標の達成、部下の育成などを目的に行われるものであり、その結果として従業員エンゲージメントが高まるのです。部下の機嫌を取るために行っているのではないことを認識しなければなりません。しかしながら、部下から嫌われる覚悟がない上司は往々にしてネガティブな内容をフィードバックすることを恐れるか、もしくはフィードバックしてもすぐに機嫌取りを行いがちです。しかしながら、その一瞬の機嫌取りが部下の育成にも組織の成長にもつながらないことを自覚し、嫌われる覚悟をもってネガティブな内容を伝えなければ上司としての責任は果たせません。
④同じ情報の共有
フィードバックは同じ情報、同じ認識のもとで行わなければ、スタート地点に立つことができません。つまり、当初立てていた目標は何で、現状はどういう状況で、当初の目標に対してどの程度過不足が発生しているのか、が同じ認識でなければならないということです。そのためには次の点に留意することが必要です。
- 目標は具体的かつ共有できているか
- 実績は同じ基準で計測できているか
- 目標と実績は同じ情報源に基づいて把握できるか
OKRを用いることでこれらの点は解決することができます
⑤感情のコントロール
部下のフィードバックに対する反応は上司を困惑させることが時として起こります。
- 情報収集など適切な準備をしてこない
- 上司の質問に対する回答が的を得ていない
- 回答が論理的でなく理解できない
- 自分の責任ではなく他人(時として上司)の責任と考えている
- 事実に基づかない見解を主張する
- 感情的、反抗的な反応を示す
このようなときに、上司が感情的に怒るなどの対応することはお勧めできません。上司が感情的になることで、部下はさらに感情的になるか、もしきはその場しのぎの反応をするか、になるからです。直接怒った部下だけでなく周囲にもマイナスの影響を及ぼすからです。
しかしながら、時には怒ることも有効なこともあります。その際は意図して怒ること(つまり、この線を越えれば怒るという基準を決めておくこと)、そして部下の周りが理解を示すことである必要があります。
フィードバックは量が質を生む
効果的なフィードバックを行うためには一回一回のフィードバックの質を高めることはもちろん大事ですが、一回のフィードバックで目覚まし効果を生むことを期待するべきではないです。またフィードバックの回数はコミュニケーションの回数になり、回数を重ねるごとにスムーズになりそして高い質を生みます。
そのためにも定期的にフィードバックを繰り返すことを行うことが望ましいです。