リレーと言えば、運動会の中で最も白熱する競技の一つかと思います。
改めて説明すると、リレーは複数のメンバーが一つのチームとなってバトンを渡して、最後のランナーであるアンカーの到着順位で勝負が決まる競技です。
運動会で様々なチーム競技がある中、チームメンバー全員が勝負のために一番必死になる競技はリレーではないでしょうか?
リレーで必死に走る理由
リレーは運動会の終盤から最終に行われることが多く、リレーの成績は運動会全体の成績に大きく影響を及ぼします。
そのため、リレーメンバーは「勝ちたい!」という共通の目的を強く認識することになります。また、勝ち負けの条件は「アンカーの着順」という明確な基準があります。
メンバーの視点でリレーを考えてみると、チームの勝ち負けの基準とともに自分の勝ち負けの基準も明確です。自分がバトンを渡された順位より上に行くか?下に行くか?が明確です。
しかもチームの成績の進捗状況は、全メンバーに常に共有されており、自分の勝ち負けも常に他メンバーに見られています。見られているので、もちろん手を抜いて走ることはできないでしょう。
このような状況下でもっとも必死になる状況はどんなときでしょうか?
順位争いのデッドヒートを繰り広げている時です。バトンを渡されたタイミングや他ランナーとの距離感が近ければ近いほど「勝ちたい!負けたくない!」と言う気持ちが生まれ、必死になるでしょう。
逆説的ですが、幼稚園児と高校生がリレーで対決する場合のように勝敗が明らかな場合は、デッドヒートの状況と同じレベルで必死になることは難しいでしょう。
リレーをOKR視点で考える
では、リレーのメンバーのように勝利のために必死になれるチームはどのように作れば良いのでしょうか?
OKR(Objectives and Key Results)視点で考えてみましょう。
まず、リレーの「勝ちたい」と言う共通の目的が、チームには必要です。全メンバーを鼓舞する共通の目的であるObjectivesを明確に共有することが必要です。
そして、「勝つ」という目的をどのような基準で判定するのか?をアンカーの着順のような明確な基準を設けること、つまりKey Resultsを設定し、チーム内の認識と進捗管理の基準を統一しなければなりません。
リレーでアンカーの着順ではなく、歩数合計が勝利条件だと考えているメンバーがいたらどうなるでしょうか?スピードよりも歩数を優先して歩幅を小さくして走り出すでしょう。
そんなことありえない!と思われる方も多いと思いますが、実はビジネスの場では「イノベーションを起こそう」「お客様に喜ばれる商品を」などの目的はあるが、基準が明確になっていないことが多いのではないでしょうか?
そして、各メンバーの役割、成果が明確になるとともに、その進捗を透明にし共有することが重要です。その結果、共通の目的に向かうメンバーの意欲は高まるとともに、途中経過での修正が可能になります。
同時に、勝つか負けるか分からないデッドヒート状況で人は必死になれることからも分かるように、安易に達成可能な目標を立てるのではなく、容易には達成が困難なムーンショット発想の目標設定が必要になります。
個人競技ではなくチーム競技で戦う組織へ
目標管理では上司部下間でのみ共有されることが多いですが、1人ずつ走る徒競走では良いかもしれませんがチーム競技であるリレーでは機能不全を起こします。
自分たちのチームの今の順位が分からない状態では必死になれない人が出てきます。1人1人が足が速くなることは重要ですが、バトンの受け渡しの練習は行われないと勝つことは難しいしょう。
チームで高い目標に挑戦し、みんなで大成功をすることをイメージする。その進捗を共通言語OKRで共有し、次へのアクションを協力して実行し、大成功への距離を縮めていくことでこそ、チームは勝利に近づけます。
そのため、リーダーには共通の目的と勝利条件を明確にすること、そして進捗を共有しながら協力して目的達成を目指すことが求められます。OKRはそのための仕組みであるとも言えるでしょう。