従業員が会社の目的を真に理解し、当事者意識をもって仕事に臨む、そして会社の目標達成に全力で向かう、そのような組織が業績が高く、離職率が低くなることは容易に想像がつきます。つまり高い従業員エンゲージメントが業績や離職率に良い影響を当たるということです。このことは様々な調査からもすでに実証済みです。
マネージャーが自部門の従業員エンゲージを高めるには?
従業員エンゲージを高めるというと、新たな制度導入や研修の受講が必要では?と考える人も多いです。
ですが、方法論に頼るのではなく、まず何をしなければいけないかを考えることが優先であり、次の4つのステップから始めるとよいでしょう。
①組織の目的と目標を明確にする
会社全体に限らず部門のマネージャー、その組織のリーダーは自分の組織の目的を明確にしましょう。
人が複数いるだけの集団と組織の違いは、共通の目的を持っていることです。部門は会社全体の目的達成のために役割を与えられてはいますが、部門自体の目的が必ずしも明確といえないことも多いのではないでしょうか。
部門のメンバーが集まってるだけの集団ではなく、組織として一緒の方向を見るためにも目的と目標を明確にしましょう。
②メンバーの目標を明確にする
組織の目標が決まれば、次はメンバーの目標を明確にしましょう。明確で効果的な目標の設定には以下の点をマネージャーとメンバーの双方が理解できていることが重要です。
- 期間が明確である
- 到達点が明確である
- 目標の数が適切である
- 達成が不可能ではないが容易でもないレベルである
③組織に求める価値観を自分の言葉で伝える
組織には目標やルールに加え、行動規範、バリューとも呼ばれるメンバーに求める価値観があるべきです。が、全社で決められているものをただそのまま伝えるだけでは、マネージャーとしての役割を果たしていると言えません。マネージャーは経営トップの言葉を翻訳、伝達する役割も担っているわけですから、自分の言葉で語ることが大切です。
また、マネージャーが借りてきた言葉を使ってるだけでは、メンバーに価値観は浸透しません。
価値観が浸透し共感するメンバーが増えることは、組織の目に見えない結束、ルールが強まることになります。
④高頻度でフィードバックを行う
①~③までのことはやっているが、なかなかメンバーがついてこない、と嘆いているときには、必ず共通点があります。それは①~③は年初に決めるだけで、メンバーに(時にはマネージャーも)忘れ去られ形骸化していることです。
形骸化しないためには、フィードバックを高頻度で1on1形式で行うことです。フィードバックを行えば①~③を常に意識できます。また、フィードバックを高頻度で行えば、メンバーは自分の今やっていることが正しいのか、不安に思うこともなくなり、マネージャーが組織自体の方向性が大きくずれる前に修正することもできます。
ここまで見てきたように、従業員エンゲージを上げるためには、人事制度の変更や大がかりな研修を実施する前に、日々のマネージャーの行動を変えることが先決です。