OKRは「Objectives and Key Results」の略称で、「O:目的」と「KR:重要な結果指標」からなる目標管理手法です。Googleで開発され、facebook、Oracle、Twitter、など米国企業で多く採用されているほか、日本でもメルカリ、サンサンなどで採用されています。
多くの企業で採用されていることに加え、OとKRの2つで構成されるシンプルな仕組みのため、導入企業が近年増えています。
しかしながら、OKRを導入したにも関わらず、効果が出ていない企業があるのも事実です。
OKRは組織を計画主義から学習主義に変える
Googleはじめ多くの急成長企業に共通する要因の一つは、組織のスピードの速さにあります。
従来型の企業が、事前に十分かつ慎重に計画し、合議された上で実行に踏み切っていました。その顕著な例が日本の上場企業の4割以上が予算編成に3か月以上かけています。
一方、OKRは3か月に一回の頻度で設定→運用を繰り返します。おおよその検討ができれば実行に移り、実行の中から学び修正を繰りかえすことを高速で成長していくのです。つまり、多くの日本企業が目標を設定している期間で、すでにPDCAサイクルが回っていることになります。
事前に十分な計画を立てる計画主義では、予測不可能で変化のスピードが高まる環境下では対応できず成長スピードが落ちていきます。一方、OKRの導入により組織が実行から多くを学ぼうとする学習主義に変わることで組織のスピードが上がることになります。
フィードバックの頻度がOKRの成否を決める
OKRの導入効果が出ていない企業の多くが、上司から部下に対して適切なフィードバックが行われていません。組織のスピードを上げ学習主義に変わるために不可欠なことが、高頻度のフィードバックです。なぜなら、不確実な環境下での経験を素早く学習し修正するためには、事実を収集し修正する機会こそフィードバックだからです。
また、ヒト、モノ、カネと言った経営資源は限りがあるため、重要なことに集中しなければ急成長を遂げることは不可能です。しかしながら、現場で様々な業務に巻き込まれるスタッフが常に重要なことに集中することは難易度が高いです。そのために高頻度のフィードバックで重要なことに集中できるように、上司が促すことができます。
そのため、OKRの運用においては、四半期に1回でOKRを設定し、週1回(または2週間に1回)の頻度でフィードバックを行わないといけません。
また、フィードバックは定期的に時間を事前に決めた公式な場で行わなければなりません。なぜなら、上司がフィードバックをしているつもりであっても、公式な場と言う意識が部下になければフィードバックを受けているという認識にならないからです。
フィードバックは目標の理解を促す
実際、高頻度のフィードバックは多くの効果をもたらします。
OKRの一つの目的である全社の戦略、目標の理解があります。組織の全体の戦略の理解がなければ、戦略にあった行動はできませんので、成長にはつながりません。
全社の戦略、目標の理解にフィードバックが高頻度で行われることで、ポジティブであることはデータからも明らかです。なぜなら、フィードバックの中で誤った理解や不明確な理解であれば修正することができるからです。
そして全社の目標が自分の目標に落とし込まれることで、個人の意欲、努力が全社の目標に向かうことで、組織の成長に効果があります。同時に、全社に対して自分が貢献できていることを実感できることは、モチベーションのアップにもつながります。
これらに対しても、フィードバックの頻度が高いほど、よりよい効果をもたらすことが分かっています。
フィードバックは成長に役立つ
目標を理解することは大切ですが、その改善がなければ意味がありません。
目標と実行した結果の差を正しく認識し、そして改善を進めることで、成長につながります。上司と部下のフィードバックがその役割を担います。
そしてその効果についてもやはりフィードバックの頻度により大きな差があります。
まとめ
OKRはシンプルな仕組みであり人事評価と必ずしも連動しないため、導入は比較的簡単に思われることが多いです。しかしながら、その効果を発揮するためには運用面での工夫が必要となります。
OKRの導入効果は、組織の最重要の目的、目標に向う全員の意欲と努力を集中し、高速で達成を目指せることにあります。
ここまで見てきたように、その効果を最大化するためには、高頻度のフィードバックをすることが欠かせません。
組織力を高めたいのであれば、定期的なフィードバックを仕組み化して高頻度で実施しましょう。