組織にはその存在意義や目的が必要ですが、従業員に本当の意味でどれだけ浸透しているか?が重要です。
本当の意味で浸透しているとは、経営理念を覚えているということではなく、従業員が会社の目的、目標に向かって、当事者意識をもって達成しようとする行動につながっている状態です。
この概念を表したものが近年注目されている「従業員エンゲージメント」です。
従業員エンゲージメントの定義
従業員エンゲージメントは比較的新しい概念のため、定義は様々ですので各社ホームページやインタビューなどに掲載されている定義をご紹介します。
タワーズワトソン
従業員それぞれが、会社が実現しようとしている戦略や目標を理解し、腹落ちして、そこに向かって、自らの力を発揮しようとする自発的な貢献意欲
リンクアンドモチベーション
企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い
Gallup
engaged employees as those who are involved in, enthusiastic about and committed to their work and workplace.
訳)エンゲージしている従業員とは、自分の仕事や職場に没頭し、熱狂的でありコミットしている人物のことです
定義の表現は違えど、従業員エンゲージメントが高い従業員が会社の目的、目標を当事者意識をもって取り組む、ということを示しています。
高い従業員エンゲージメントは高い業績につながる
このように従業員エンゲージメントを考えると、従業員エンゲージメントが高い従業員が多い企業ほど、高い業績につながることが、各種調査からも実証されています。
ここでは、リンクアンドモチベーションの行った「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果をご紹介します。
①エンゲージメントスコアが高い企業は、翌年の売上/利益の伸びが大きくなる。
②エンゲージメントスコアが低いほど利益の伸長率の「バラつき」が大きく、高まるにつれて利益の伸長率の「バラつき」が小さくなる傾向が見られた。
http://www.lmi.ne.jp/news/2017/2017111415321117.html
従業員エンゲージメントの高さは業績だけでなく、離職率の低さなどにもつながることも実証されています。
従業員満足度と従業員エンゲージメントの違いは?
従業員エンゲージメントと似た考え方に従業員満足度があります。
従業員満足度を上げると、顧客満足度が上がる、と言われることも多いため、違いが一見分かりにくいかもしれません。
従業員満足度は職場や企業に対する満足度ですので、極端に言えば業績が悪くても仲良く楽しい職場であれば満足度は高まります。
本当は高い顧客満足度の企業は、高い従業員満足度のことが多いだけであり、高い従業員満足度が高い顧客満足度を生むのではないことに注意しましょう。
一方、高い従業員エンゲージメントは企業目的を理解し、自発的に目的を達成しようとする従業員が多いことを示すため、戦術の通り企業の業績を高めることが実証されています。
つまり、企業の目的や目標が本当の意味で浸透し、従業員がその達成に意欲的に向かわせることが、高い業績を目指す経営者には求められるということになります。