「できない社員は意識が足りないんですよ」
多くの部下を抱えるリーダー、マネージャーから、よく聞く話である。
部下の中には同じように仕事を指示しても、期待通りできる人もいればそうでない人もいる。そこで、指示の問題ではなく、その個人の意識の問題と考えてしまう。
しかしながら、「個人の問題なのか」「意識の問題なのか」の2つの疑問が生じてきた。
個人の問題なのか
まず考えなくてはいけないのが、本当に個人の問題なのか、という点だ。
できない部下個人の問題と上司が考えてしまう理由は2つある。
1つ目は、自分が部下の立場のときに当然のようにできていたから、もしくは、部下の立場のときにできていなかったことを忘れているからできない部下個人の問題だと考えてしまう。
2つ目は、自分の指示の仕方に問題ないと考えているから、受け手であるできない部下個人の問題だという結論に至ってしまう。
このような考えに至っていないかを確認するには、指示通りできている人とできていない人の割合がどれくらいか?確認してみてほしい。
多くの場合、できている人がほんの一握りのことが多い。つまり、組織の中で一定数のできない人が存在する場合、個人の問題ではなく、組織の問題であるということである。
意識の問題か?
「意識が変われば、行動が変わる。」とよく言われる。
確かにその通りなのだが、自分の意識でさえ変えることは難しく、他人の意識となれば、なおさらである。
しかも、「行動が変わる」ことがゴールではない。「結果が変わる」ことがゴールである。
組織として部下に求めているのは結果であり、そのための行動が変わることをまずは優先すべきである。
意識➡行動➡結果
ではなく
行動➡結果➡意識
の流れをつくる。つまり、部下の行動を変えて結果が変わったことを実感させ、意識が変わることを上司が促す必要がある。
組織としての仕組みが必要
個人の問題でも、意識の問題でもないということは、組織の仕組みに問題があることになる。
できない部下を変えるためには、上司には以下の3点が必要になる。
- 「できる」の基準を明確にする
- 進捗をこまめに確認する
- 行動の変化を促す
まず、「できる」の基準、つまり目標が不明確なことが非常に多い。「なるべく早く」「調整しておいて」などの指示は、部下はできたと思っても、「なんで遅いのか」「調整するときにもっと気を使え」などということにつながってしまう。
次に、進捗をこまめに確認することで、2つの効果がある。1つは決めた目標を忘れないということ、もう1つは遅れやズレをすぐに修正できるということである。
そして、ダイエットが続かない理由などからも分かるように、できていないと分かっただけでは変われない人も多い。上司が行動変化を促すことで、分かったことをできるにつなげる必要がある。
OKRは組織を動かすシクミ
目的、目標を明確にすること、そして進捗を確認し、行動変化を促進することは、まさにOKRが組織のシクミであると言える理由である。
また、OKRは全社に公開されており、瞬時にできていない人、チームがどれだけいるかが分かるため、個人の問題なのか、組織の問題なのか、が明らかにできるのだ。