OKRは組織の最重要の目的、目標に向う全員の意欲と努力を集中し、高速で達成を目指すための目標管理手法ですが、その効果を実証する興味深い検証結果があります。
シアーズでの検証について
米国でスーパーマケットなどの小売業を営むシアーズ(Sears Holdings Company)で、OKRの効果について検証が行われました。
検証は大きく2つに分かれており、一つはコールセンターでの導入効果、もう一つはより広範囲の業務に携わる従業員についてです。
それぞれで、OKRの導入効果は組織の成長に対して顕著な結果が見られたことが分かりました。
コールセンターでの検証結果について
まず最初の検証は、アウトバウンドを行うコールセンターで行われました。OKRを一年以上使用したのちに、OKRを使用したグループと使用していないグループについて、導入前と導入後の実績を比較を行うことで検証されました。
OKRを使用したグループでは、1時間あたりの平均販売数が14.44ドルから15.67ドル増加しました。つまり導入前に比べ8.5%の平均増加が見られました。また、1時間あたりの通話数も同様に増加しています。一方、OKRを使用しなかったグループは導入前に比べ増加しませんでした。
つまり、導入によって、業績にプラスの効果があったことを示しています。
さらに広範囲での実証結果について
最初の検証結果はOKRの効果が、アウトバウンドコールセンターでは実証されたことを示しますが、他の部門でも効果を発揮するかは証明していません。
そこで次の検証は、より広範囲に数十の部門にわたる約12,000人の従業員を対象としています。さらにこの検証では導入だけでなく、調査期間中に対象がOKRをどれくらい頻繁に使用したかまで含めて検証しています。
そして、広範囲の部門にわたるため、導入効果は従業員のパフォーマンスレベルに基づき検証しています。従業員をパフォーマンスに基づき、高(約20%)、中(中70-75%)、低(下5〜10%)の3分類にしています。そして 2013年から2014年の夏にかけて、OKRをどれくらい頻繁に使用したかによってグループ分けしています。
グループ1:OKRを少なくとも1つ以上一貫して、一年間使用し続けた
グループ2:OKRをずっとは使用しなかったが、一回以上は使用した
グループ3:OKRを使用しなかった
そして、各グループでパフォーマンスの分類が一年間でどの程度上の分類に上がるかを検証しました。
グループ1:パフォーマンスレベルの分類を上げる確率が11.5%高まった
グループ2:パフォーマンスレベルの分類を上げる確率が3%高まった
グループ3:パフォーマンスレベルの分類を上がらなかった
検証から導かれる結論
シアーズでは過去18ヶ月間に約2万人に対してOKRの導入に関する検証を行い、コールセンターでの時間当たり売上高が8.5%増加したことや、企業の従業員全体でパフォーマンスレベルアップの可能性が11.5%増加しました。
OKRはGoogleなど多くの成長企業で導入されていることで有効性が確認されていましたが、シアーズでの長期間かつ広範囲での定量的な実証結果はその有効性をさらに裏付けるものとなりました。
OKRは導入、運用についてシンプルでコストを含む負担が少ないため、これだけの効果があるのであれば、一度は試してみる価値はあるのではないでしょうか?
(参考)
https://www.linkedin.com/pulse/sears-holding-company-study-shows-okrs-impact-bottom-line-ben-lamorte
https://www.atiim.com/blog/sears-launches-okrs-and-impacts-bottom-line-results/