組織の成長のために、目標を設定し、進捗を管理することが必要なのですが、どのような目標を設定するのか、に悩むリーダーも多いのではないだろうか。
ムーンショットとは?
アポロ計画
第二次世界大戦以降、アメリカとソビエト連邦が様々な分野で競い合っており、宇宙に関する開発競争も激しさを増す中、アメリカが先に有人月面着陸を成功させました。
この成功の最大要因は何かご存知でしょうか?
1961年5月、ジョン・F・ケネディ大統領が下記の目標を設定し、宣言したことと言われています。
10年以内に月面に人類を着陸させ無事に地球に帰還させる
アポロ計画と言われるこの計画は、当時の常識、技術レベルからは非常にかけ離れた壮大で困難な目標でした。しかし、実際には8年後にこの目標は達成されました。
このことから、未来から逆算して立てられた、斬新な、困難だが実現すれば大きなインパクトをもたらす壮大な課題、挑戦のことを「ムーンショット」と呼ばれるようになりました。
ムーンショットとマネジメント
ムーンショットのマネジメントへの活用例では、Googleの「10%ではなく、10倍大きく考えよ」が有名で、OKRの設定にも必要とされる考え方です。
多くの経営者やマネージャーは、10%の成長を目指します。そして、もっと頑張り、新しい機器を購入し、夜間や週末に働き、10%の成長を目指します。
一方、10倍大きくと考えると、対照的に、もっと頑張るだけでは到底達成することはできません。そのため、これまでの延長線上の考えではなく、斬新な創造性や常識にとらわれない勇敢さが必要になります。その結果、それまでの延長線上では届かなかったポイントにたどり着くことができるという考え方です。
多くの名経営者も異口同音に、ムーンショットで考えるべきと言っています。
例えばユニクロを展開するファーストリテイリング 柳井会長はこのように言っています。
最高にうまくいったら、全部大成功したらどうなるかというのをまず考える。人が力が出るのは、大成功したときですよ。大成功して全部うまくいって、すべての人がハッピーになった姿をまずイメージしないといけないと思う。
(参照)https://campus.nikkei.co.jp/article/133601313_3.html
目標設定をムーンショットで考えるべき理由
①根本的な解決策を促す
改善や頑張りでは到底届かない目標を設定することで、視点が高くなります。そのため、そもそもの前提条件を見直したり、無謀、無知とも一見思えるアイデアが生まれやすくなります。
②ゲームチェンジャーになれる
業界の既成概念、ルールにとらわれない発想が必要になるため、ムーンショットでの目標を目指すことで、業界の競争構造を変え、リーダーになる機会が生まれます。
③組織に一体感が生まれる
組織には内向きの仕事や争いが起こるものですが、共通の目的、目標を持つと方向性がまとまり、内向きの問題への関心は薄れるため、組織に一体感が生まれます。
④手抜きが起こらない
営業などで起こりがちですが、期限を迎える前に目標を達成してしまうとそれ以上の成果を生み出そうとしなくなりますが、簡単には到達できない目標であればそのような手抜きは起こりません。
ムーンショットで考えてはいけないこともある
ムーンショットでの目標設定が重要な理由を書いてきましたが、あてはまらない場合もあるので注意が必要です。
①業績がマイナス局面で立て直しが急務の状況
壮大な目標よりも、小さな成功(スモールゴール)を積み重ねて、組織に自信と勢いをつけることを優先することが必要です。また財務的な余裕も少ない状況であれば、失敗に耐えうる体力がつくまでは、ムーンショットを優先すべきではないです。
②リスクに比べ根拠が薄弱なとき
ムーンショットを実現するための初期の投資コストなどリスクが莫大な場合、根拠が薄弱で成功確率が低いイチかバチかのチャレンジに一気に取り組むのは危険です。そのような場合は、初期の投資コストを分散することでリスクを下げる方法がないかを再度検討することが必要です。