チームでの振り返りがうまくできない
メンバーみんなで意見を出し合ってチーム目標を振り返ろうと集まったものの、
「メンバーから意見が出ない」
「後ろ向きで改善につながらない」
そんな経験をされたマネージャーも多いのではないでしょうか。
振り返りは、チームが学びを共有し、次の一歩を描く大事な時間です。
しかし、進め方が曖昧だと「ただの報告会」「ダメ出しの場」となり、参加者にとって前向きな時間になりません。
そこで、振り返りにまだ慣れていないマネージャーでも安心して進められる、
未来志向のファシリテーションの基本ステップをご紹介します。
振り返りの全体像
ファシリテーションの流れは大きく5つです。
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目的を確認する
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場をあたためる
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意見を引き出す
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整理して学びにする
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次の行動につなげる
これを意識するだけで、会議の雰囲気も成果も大きく変わります。
STEP1:目的を確認する
振り返りは、ただの進捗確認や反省会ではありません。目的は「チーム全員で意見を出し合い、より良い未来に向けた行動を見つけること」です。
ファシリテーターが冒頭で以下のように目的を伝えると良いでしょう。
「今日は成果を評価する場ではなく、次にもっと良くするためのヒントを見つける場です」
「一人の反省ではなく、みんなの学びをつなげて未来をつくる時間にしましょう」
STEP2:場をあたためる
前向きに意見を出し合うためには、雰囲気づくりが大切です。まだリーダーもメンバーも慣れていない場合は、簡単な一言アイスブレイクがおすすめです。
「最近、経験したうれしいことは?」
「今の気持ちを天気で表すと?」
これだけで場が明るくなり、意見が出やすくなります。
STEP3:意見を引き出す(KPT法を使う)
マネージャーが進行役として取り入れやすいのが、KPT(Keep・Problem・Try)です。
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Keep:よかったこと、続けたいこと
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Problem:うまくいかなかったこと、課題
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Try:次に挑戦したいこと
まずは全員が、KeepとProblemを個人で考え、全員で共有します。そして、Tryを個人で考えて共有することで、メンバーの振り返りが未来に向かいます。付箋やホワイトボードに書き出すと、誰もが参加しやすくなります。
STEP4:整理して学びにする
出てきた意見をグルーピングしながら、「次につながるポイントは何か」をチーム全体で考えます。重要なことは、批判ではなく学びを引き出す姿勢です。「誰が悪いか」ではなく「次にどう工夫できるか」を問いかけましょう。
STEP5:次の行動につなげる
振り返りは、行動につながって初めて成果が出ます。「いい話し合いができたね」で終わらず、最後は必ず「次回に向けたTry」を1つ以上決めましょう。
例:「ミーティングの前日までに進捗をSlackに共有する」
小さな一歩でも構いません。「やってみよう」で終わることが大切です。
完璧でなくても大丈夫、一歩ずつ経験を積み重ねて
完璧に進行できなくても大丈夫。最初は「時間を守る」「全員が一度は発言する」くらいを意識できれば十分です。振り返りは、経験を重ねることで質が上がります。回数を重ねるほど、自然と未来志向の対話ができるようになります。
振り返りは、未来をつくるためのチームの学習の場です。マネージャーは、進行役であると同時に、学びと可能性の引き出し役であると意識し、5つのSTEPを実行してみてください。