次世代リーダーの育成は最重要課題
企業、組織の発展において人材が大きな要素であることは異論のないところでしょう。では、人材について、企業は何を最重要課題と考えているのでしょうか?
HR総研(ProFuture株式会社)が行った「人事の課題に関するアンケート」調査によると、今後3~5年後の最重要課題のトップは「次世代リーダーの育成」でした。
今後3~5年”の【採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ】面での最重要課題
実に4社に1社が、「次世代リーダーの育成」を最重要課題ととらえていることが分かります。
しかも、同調査によると、今の最重要課題トップも「次世代リーダーの育成」でその割合は18%です。今の最重要課題でありながら、今後も解決されるどころか、より大きな課題となると予想していると考えられます。
次世代リーダー育成の実態
次世代リーダーの育成は、多くの企業が課題と考えているため、各社課題解決のために様々な取り組みをしています。
その実態について「次世代リーダー・グローバル人材の育成に関する実態調査報告書サマリー」(学校法人産業能率大学)によると、次世代リーダーの育成として選抜型を採用している企業が多い。そして「リーダーシップ研修」や「経営管理知識の教育(経営戦略・マーケティング・財務など)」などを多くが実施しています。
しかしながら、教育後の施策が不十分であったり、育成の効果が見えにくいなどの問題点も存在しています。
先述の次世代リーダーの育成が今後より大きな課題となるため、これらの育成は現在の経営トップが満足する成果は出していないのでしょう。
成長には何が必要か
次世代リーダーの育成を言い換えれば、次世代リーダー候補者をいかに成長させるかと言うことです。
職場での人の成長を決める要素には、「職場での経験」、「他者からの学び」、「研修や書籍」の3種類があります。
そして成長に与える影響は職場での経験が70%と圧倒的と言われています。
【職場での人の成長を決める要素】
職場での経験 | 70% |
他者からの学び | 20% |
研修や書籍 | 10% |
だから、リーダーシップ研修には効果がない、と言うことではありません。経験だけでは学べないことをいかに学ぶかは非常に重要です。
しかしながら、成長にかかわる多くの部分は、実際の経験によるものですから、次世代リーダーの育成に「研修」や「知識教育」をしているだけでは、期待する効果が出ないことも当然です。
次世代リーダーの育成に必要な経験とは?
では、次世代リーダーには、どのような経験が必要なのでしょうか?
リーダーには多くの定義がありますが、もっとも必要な要素は、目的を示し部下を導く人です。
しかしながら、多くの日本企業では目的を示す経験が圧倒的に不足しています。なぜなら、トップダウンで定められた目標を決められたルールの中で達成することに長けた人がリーダー候補となっていくからです。
日本人は与えられた問題解決は上手くできても、問題発見が苦手であると言われていることにも通じます。
全社の目的に向かう方向の中で目的を決定し、その中でどんな目標を達成すれば良いのかを決める経験を積むこと、そしてメンバーとともに達成を目指すことを繰り返していくことでより大きな目的を作り上げることができるのです。
OKRは次世代リーダーの育成につながる
OKRは、小さなチームを持ったリーダー初心者の段階から、挑戦的な「O:目的」が求められます。また、そのマイルストーンである「KR:重要な結果指標」を定義し管理することが必要になります。
これは、まさしくリーダーに求められる目的を示し、メンバーを導くことに他なりません。
同時に、4半期に一回のペースでOKRを設定することで、通常の企業が1年に1回しか目標管理の機会がないことに比べ、4倍多くの機会を持つことができます。
つまり、成長機会が4倍になりますので、リーダーとして4倍速で成長していくことにつながります。
同時に経験を積む中で失敗はつきものですが、全社にOKRが常に公開されていることで、早めにフォローすることも可能になります。
教育、研修などはもちろん大事ですが、実際の業務のなかでリーダーに必要な経験を増やすことで強い次世代リーダーが育成していきましょう。