その会議は何のためなのか?
経営会議や店長会議など多くの従業員を集めて、意見交換をする機会を設けることがある。
経営者が現場の声を吸い上げることはもちろん大切なことです。しかし、意見を交換しただけでコミュニケーションをしている気になってはいないだろうか。
また、年度初めに社長から戦略を伝える発表会を行うことも、それだけでコミュニケーションを行っている気になっていないだろうか。
どちらの会議もやること自体に問題はない。ただ意見を交換したり発表したりすることをゴールにしてはいないだろうか。
「従業員の意見聞いているですけど、全然動かないんです」
「毎年、丁寧に説明しているのに、イマイチ理解できていないんですよ」
このような言葉を聞くと、会議の目的、ひいてはコミュニケーションを正しく理解していないことがよく分かる。
コミュニケーションの目的は相手の行動を変えること
発言者がコミュニケーションをしたつもりになっていても、受信側の行動が変わらなければ、それはただの音にしか過ぎない。
経営者が意見をいくら吸い上げても、いくら戦略を発表しても、現場の行動が変わらなければコミュニケーションをとったとは言えません。
受信者が確実に受信し、理解しなければなりません。そして、理解した内容を忘れることなく、行動が変わってこそのコミュニケーションです。
コミュニケーションを成立させるには下記の要素が必要になります。
- 確実に受信されるために、繰り返し発信すること
- 間違った理解をしないために、相手のレベルに応じた発信をすること
- 忘れないように、シンプルに伝えること
- 行動の変化を確認すること
「前にも言った」
「一回聞いたことはできるように」
などと、言いますが、一回聞いたことが全員できたら、誰も子供のころテストには苦労していない。
つまり、人は忘れるし誤解もする。その当たり前の前提を忘れず、コミュニケーションを取らなければならない。
戦略もコミュニケーションと同じ
経営を行う上で戦略は重要だが、これもコミュニケーションと同じく相手の行動を変えることが必要だ。
どんな経営戦略もお客様の行動の変化、つまりこれまで買っていなかった人が買う、これまで以上に買うなどが目的になっている。
そして競合もいる中で、自社にとって魅力的な行動変化をしてもらわなければならない。
その時にお客様に対して、こんな不満をもっても何の意味もない。
「従業員の意見聞いているですけど、全然動かないんです」
「毎年、丁寧に説明しているのに、イマイチ理解できていないんですよ」
社内の従業員の行動を変化させることに比べて、お客様の行動を変化させることは何倍も難しい。
社長や上司といった肩書、権威は何の役にも立たない。
お客様の行動を変える、このゴールに向かうためには、従業員の行動を変えなければいけない。
そしてそのためには、トップが自らの行動を変えなければいけないのだ。