方向を間違えたり、やりすぎたりしないようにするには、まず本当は重要でもなんでもない1000のことにノーと言う必要がある。
アップル社の共同設立者として知られるスティーブ・ジョブスの言葉で、重要なものに絞り込めなければ成功できないということを意味しています。
ではなぜ、絞り込めなければビジネスは成功できないのでしょうか?
組織のスピードが落ちる
リーン、アジャイルなどスピードを重視する言葉がより重視される今日の市場では、時間という競争資源の重要性は非常に高まっています。製品群や機能を絞り切ればければ、スピード重視の低コストの新規参入者に勝つことはできません。幅広い製品、多機能のサービスには、開発、テスト、マーケティングなども多くなり、組織のスピードが落ちます。
とくにスタートアップや新たな市場への参入時は集中が重要です。最初から完璧を目指すのではなく、必要なことに絞り込まれた製品、サービスをいかに素早く市場に投入し、修正を繰り返すかが、成功の要因になるからです。
市場への訴求力が落ちる
「マジックナンバー3」
説得力、訴求力のあるメッセージは3つと言われるように、3つ以下に絞り込まれていないメッセージではマーケティングが機能しません。顧客にとって多くの便益があるものであったとしても、競合のシンプルで強烈なメッセージには勝てないのです。
「いや、競合より多い機能を持っているというのは強いメッセージになるはずだ」、との意見もありますが、これについてもスティーブ・ジョブスの名言からも分かるように、その時点で勝てないのです。
美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい??
そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。その女性が何を本当に望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ。
組織の力が最大化できない
綱引きを考えてみたい。
必ずしも個々の力が強いチームが勝つわけではなく、メンバーの力の総和が大きいチームが勝つことになります。綱の引き方、姿勢などを整えることでそれぞれの力がタイミング、方向が統一されることで、個々の力の総和が高まるわけです。
ビジネスに置き換えても同じです。
組織にいる多くのメンバーの力の総和が組織の力になり、その力が一方向に向かっていることで組織の力は最大化します。しかしながら絞り込まれていな組織では、重要事項に真っ直ぐに力を保つことができなくなります。
また、チームがどこに向いているのか分からなくなるとメンバーには不満、疲れがたまり意欲を失い、何もうまく行かない傾向があります。
有名な経営学者であるマイケル・ポーターも言っているように、何をやらないかを決め、絞りこまれていることこそが戦略なのです。
戦略とは、何をやらないかを決めることである。